前回のノート以降の7試合を2勝3敗2分のナショナルズ。先発投手陣の投球回数は4イニング程度まで伸び、レギュラー野手陣も出場を増やしていることから、マージナルな選手の出場機会は減らざるを得ず、この間2度のロースターカットがありました。

※特に記載しない限り、選手の成績は3月13日の試合までを含めたスプリングトレーニングの全成績。 

● Bryce Harperが絶好調 
Bryce Harperが絶好調です。出場11試合で29打席に立ち、.320/414/.960、5本塁打、8打点という成績。5本塁打は全体でもスプリングトレーニング最多タイです。今の時期に数字を残しても意味はありませんが、昨シーズン後半の不調から脱していることが確認できただけでも十分。MVPシーズンの再来を期待させてくれます。

● 故障者情報 
調整が遅れていたJoe BlantonとMatt Wietersもオープン戦に出場。開幕に向けて問題なし。取り残された形のMax Scherzerも12日に実戦形式の投球練習を行うところまで調整が進んでおり、本人は開幕に間に合うかもしれないとのコメントを残しています。

前回故障者情報で紹介した選手のうち、Emmamuel Burrissは問題なく実戦に復帰しましたが、Nick Leeはやはり重症で左ひじの手術を要し、マイナーで調整することになりました。

この他、新たな故障者情報はありません。朗報です。

● Norrisをウェイバーに 
Matt Wietersが順調に調整を進めていることから、いよいよ捕手が余剰となってきたところで、12日、Derek Norrisがウェイバーに掲載されたと報じられました。つまり、クレームする球団があれば、対価なしで移籍を認めるということです。そのNorrisはここまで17打席で.353/.353/.706、2本塁打とよく打ち、三振もわずか3つと打撃は申し分ありませんが、420万ドルという年俸が控え捕手としては高すぎるということのようで、年俸を負担しても引き取る球団がなければ、単純に解雇するのではないかとさえ言われています(年俸調停対象選手の場合、3月15日までに解雇すれば、予定されていた年俸の1/8だけ支払えばいいため)。

控え捕手候補では、若手のPedro Severinoは打率5割(10打数5安打)と好調ですが、本命とされるJose Lobatonが相変わらず全く打てず(17打数2安打、打率.111)。Lobatonを放出・解雇して、Norrisを控えとして開幕してくれればいいのに。

●先発投手陣 
Max Scherzer以外の先発投手陣、つまりGio Gonzalez、Stephen Strasburg、Joe Rossの3人は、それぞれ失点もしながら、それなりのイニングを投げて順調に調整を進めています。なお、Tanner RoarkについてはWBCの記事をご参照ください。

Scherzerが開幕に間に合えば必要はなくなる先発5番手ですが、A. J. Coleが3度目の先発機会で結果を出しました。9日のマーリンズ戦、4イニングをノーヒット、1四球でもちろん無失点のナイスピッチング。ベンチからも高い評価。ライバルと目されたAustin Vothが早々にAAAにオプションされ、Jeremy Guthrieは完全にブルペン投手としての起用となっていることから、ほぼ立場が固まったと思われます。

●クローザー争い 
依然としてはっきりしないクローザー争い。Blake Treinen、Koda Glover、Shawn Kelleyの3人は、3人とも前回ノート以降失点せず、内容もほぼ完璧でした。報道を見ていると、Gloverに対する評価が高いようにも感じられますが、まだ判断は下されていません。このまま贅沢な悩みのままで推移してくれる分には構いません。

●生き残りをかけた選手たちの戦い (つづき)
マイナー契約のベテラン投手陣のうち、Joe Nathanは9日の2失点を含め、6試合6イニングで3失点、内容も8安打3四球2奪三振とピリッとせず、クローザー争いからは脱落したと見られます。一方、やはりマイナー契約で参加しているベテランの中継ぎ投手のうち、Matt Albers(7イニング無失点)、Neal Cotts(5イニング無失点)の2人は奮闘しています。上記のGuthrieも5.1イニングで1失点6奪三振と頑張っています。

野手陣では、Michael Taylorが依然として好調で、打率は前回ノート時(.389)よりも上げて、.448。盗塁もチームトップの4つを決めて失敗なし。Wilmer Difoも同じく前回時(.353)より上げて、.407。2人ともよく頑張っています。マイナー契約のベテラン勢ではBrandon Snyderの打率.317が最も高いのですが、次第に下がってきており、苦しくなってきました。Clint Robinsonも25打席で打率.200と依然低迷中。

●トッププロスペクト 
11日のメッツ戦ではErick Feddeが初先発し、3イニングを1安打1四球1奪三振の無失点。ここまで3試合計7イニングを無失点。今シーズン中のメジャーデビューがいよいよ見えてきました。

野手ではRafael Bautistaの評価が上がっています。25打席で.320/.320/360という数字以上に評価されているようです。開幕はさすがにないでしょうが、こちらもそう遠くない時期に昇格してきそうです。

● Ian Desmond左腕骨折 
ところで、元ナショナルズのIan Desmondが左腕に死球を受けて骨折し、開幕は絶望というニュースが入ってきました。オフにロッキーズと4年契約を結び、新しいリーダーとして活躍しつつあるというような報道もあり、いよいよというところでした。残念過ぎます。

噂されていた通り、Derek Norrisを解雇しました。

12月のウィンターミーティングの際にパドレスからトレードで獲得。今シーズンのナショナルズの正捕手との見込みでの獲得で、年俸調停対象選手として420万ドルで契約を更新していました。事情が変わったのは、もうスプリングトレーニングが始まった後の2月下旬になってMatt WietersがFA契約で入団してきたときでした。正捕手はWietersで確定となり、控え捕手としては安定した守備力を誇り割安なJose Lobatonがいることから、Norrisの放出が既定路線のように言われ始めました。

球団としては正捕手がはっきりしていないチームを中心にトレードを打診したようですが、結実することはありませんでした。今週に入り、ウェイバーに公示しましたが、クレームする球団も現れず。スプリングトレーニングでは17打席で.353/.353/.706、2本塁打と打撃好調でしたが、420万ドルという年俸がネックになっていたようです。

結局引き取り手がないまま、Norrisに支払わなければならない金額が当初合意していた年俸総額の1/8で済むぎりぎりのタイミングである3月15日に解雇、これによりNorrisは完全なFAとなりました。

12月のトレード成立時には、2011年のオフにGio Gonzalezのトレードで放出したNorrisがナショナルズに戻ってくるということで大いに古いファンは盛り上げてくれましたが、結局ナショナルズのユニフォームを着て公式戦でプレーすることはないまま。甚だ残念です。

さあ、どこになるか分かりませんが、この春の成績ならきっとどこかから声がかかるはず。新天地で頑張ってください。これからも応援しています。

第2ラウンドが終わり、舞台は決戦の地、ロサンゼルスへ。残るは4チーム。前回覇者のドミニカ共和国は姿を消し、準決勝の組合せは、オランダ対プエルトリコ、米国対日本となりました。

以下、第2ラウンドのまとめです。

[プールE(@東京)] 
1. 日本(3勝) 
2. オランダ(2勝1敗) 
3. イスラエル(1勝2敗) 
4. キューバ(3敗) 

日本が3連勝で1位での準決勝進出を決めました。初戦のオランダ戦を延長11回4時間46分の激闘の末にものにすると、続くキューバ、イスラエルとの試合はいずれも終盤に打線が機能して完勝。6連勝での準決勝進出は、日本チームとしては4度目のWBCで初めて。開幕前はスター不在で(過去3大会に比べると)期待感があまり大きくなかったサムライジャパンでしたが、ここまでの戦いぶりは見事です。2位は、日本との初戦に惜敗したものの、イスラエルとキューバを連続コールドで撃破したオランダ。4番に座るヤクルトのWladimir Balentienが3本塁打10打点と打線を引っ張りました。イスラエル、キューバはちょっと力不足(特に層の薄さ)を感じさせました。

さて、元ナショナルズ勢では、オランダのShairon Martisが日本戦で同点の4回途中から登板し、3イニングを1失点。キューバ戦でも1イニングを無失点。日本戦では球数制限ぎりぎりまで投げさせられるなどベンチの信頼を得ており、準決勝でも起用が予想されます。同じくオランダのRandolph Oduberも9番レフトとして2試合に先発しました。

イスラエルのJason Marquisは初戦のキューバ戦で6回途中までDespaigneのソロ本塁打による1失点に抑える好投で同点のまま後を託し、チームの勝利に貢献しました。

[プールF(@サンディエゴ)] 
1. プエルトリコ(3勝) 
2. 米国(2勝1敗) 
3. ドミニカ共和国(1勝2敗) 
4. ベネズエラ(3敗) 

前回大会決勝の再現となったグループ初戦でプエルトリコがドミニカ共和国を破り、前回大会からのドミニカ共和国の連勝を11で止めました。勢いに乗ったプエルトリコは続く米国戦の初回に怒涛の6連打で4点を先制、1点差まで迫られましたが振り切って2連勝。消化試合となったベネズエラにも大勝してこちらも6戦全勝での準決勝進出を決定しました。ともに1勝1敗で迎えたドミニカ共和国との大一番を制した米国が2位通過。4回のGiancarlo Stantonの2ランは一見の価値のある凄い一撃でした。前回覇者ドミニカ共和国はここで敗退。ベネズエラは上位3チームとは明らかな力の差を感じさせました。

さて、ナショナルズ勢ではドミニカ共和国のEnny Romeroはプエルトリコ戦で1回2/3を5人で片づける好投(1奪三振)。第一ラウンドに続いて100マイル近い速球を連発しました。心配なのは米国のDaniel MurphyとTanner Roark。Murphyは第2戦のプエルトリコ戦にDHとして先発しましたが2打席凡退で途中交代。Roarkに至っては登板機会すら与えられませんでした。シーズンに向けた調整という意味では極めて心配です。(→日本戦の先発がRoarkと発表されています。)

元ナショナルズ勢では、Tyler Clippardがドミニカ共和国戦で登板。ソロ本塁打を打たれたもののリードを守って後ろにつなぎました。

[2017年3月更新,2016年3月オリジナル]

2016 年の第1弾、全体では第26回となるのは、スター選手に育つ可能性が期待されるVictor Robles外野手です。

[Player Data]
Name: Victor Robles
Position: CF
Born: May 19, 1997
Birthplace: Santo Domingo, DR
School: NA
Height: 6-0
Weight: 185
Bats: Right
Throws: Right
Draft: NA
Acquired: International FA (July 2013)
BA organization Rank: 25(2015) ⇒ 3(2016)  ⇒1(2017)
BA Overall Rank: 33(2016) ⇒13(2017)

[Scouting Report]
右投げ右打ちのセンター。「走攻守三拍子揃った選手」、「ファイブツールプレーヤー」、呼び方はともかく、野球をする上での全ての能力について高く評価されているスター候補生。最も高い評価を受けているのは、鋭いラインドライブを全方向に打てるバットスピード。これは、どのスカウティングレポートでも最初に書かれています。パワーは発展途上ですが、いずれ付いてくるであろう体格をしているとのこと。また、コンタクト能力が高く空振りが少ない、選球眼が良くて四球を多く選べるといった点も高く評価されています。さらに、足も極めて速く、盗塁や内野安打だけでなく、積極的な走塁でシングルをダブルに、ダブルをトリプルにすることもかなりあるとか。その足を使いセンターとして広い守備範囲をカバーする上、強肩も極めて高い評価を受けています。アスリートとしての身体能力が高く、しかもエネルギーあふれる全力プレー。ほとんど欠点らしい欠点がありません。強いて言えば、現時点でパワーがないことと、積極的な走塁が暴走につながっているというくらい。似たタイプの選手としては、パイレーツのStarling Marteの名前が挙がっていました。「試合の流れを変えることができる選手」と評され、将来は、センターのレギュラーはもちろん、オールスター選手まで育つと期待されています。

 (Photo By Glenn Gaston)

[Background]
ドミニカ共和国出身。16歳になったばかりの2013年7月に契約金22万5000ドルでナショナルズと契約。

2014年はドミニカ夏季リーグでプレー。47試合で.313/.408/.484、22盗塁という数字を残し、BAのDSLのトップ20プロスペクトに選ばれる。

2015年に17歳で米本土に上陸。スプリングトレーニング中にバッティングで注目を集め、シーズン開幕後もGCL Nationalsで打ちまくり、23試合で.370/.484/.562、12盗塁と圧倒。7月には早くもAuburn Doubledays(SS)に昇格。大卒選手がほとんどというNY Penn Leagueでも、38試合に出場し、.343/.424/.479、12盗塁という成績。多くのスカウトの目に触れたこともあり、押しも押されぬトッププロスペクトとして評価されることとなった。  

2016年はHagerstown(A)で開幕。64試合で.305/.405/.459、5本塁打、19盗塁の好成績を残し、South Atlantic Leagueのオールスターに選出された後、Potomac(A+)に昇格。7月18日の打席で死球を右手親指に受けてDL入りするなど、ややスロースタートとなったが、復帰後の22試合では.281/.364/.406、1本塁打、9盗塁というまずまずの成績だったが、Carolina Leagueの最年少選手としては十分な数字。評価を上げ、組織内ナンバーワン、全体でもトップ10前後(BAでは13位だが、BP、MLB.comではともに7位)のエリート・プロスペクトとなった。 

[Comment]
オフにトレードの噂もありましたが、手放さないでいてくれてほっとしています。各種レポートを見ていると、身体能力に優れているだけでなく、プレーに対する情熱や学ぶ姿勢などのいわゆるメイクアップでも高い評価を得ており、ますます期待が膨らみます。開幕はA+と予想されていますが、シーズン中にAAに昇格し、2018年のメジャーデビューが視野に入るところまでいくことが目標でしょう。(2017年3月)

期待の超大型新人。夢のある選手。ドミニカ出身の選手は急に伸び悩んだりすることもあり評価が難しいのですが、Roblesは将来のナショナルズのセンターを任せられる選手に育つことを期待しています。まずは、2016年も前年のような活躍をし、全体トップ10プロスペクトに入ってきてくれるといいな。(2016年3月)

[2017年3月更新, 2015年12月更新, 2014年8月オリジナル]

全体19回は、2014年ドラフト全体1順目入団のErick Fedde投手です。

[Player Data]
Name: Erick Fedde

photo by Glenn Gaston, Special to The Citizen

Position: RHP
Born: February 25, 1993
Birthplace: Las Vegas, NV
School: University of Nevada Las Vegas (UNLV)
Height: 6-4
Weight: 180
Bats: Right
Throws: Right
Draft: 2014-1(18)
Acquired: Draft
BA Organization Rank: 5(2015)⇒ 4(2016)  ⇒2(2017)
BA Overall Rank: 90(2015) ⇒82(2016) ⇒52(2017) 

[Scouting Report]
素材としてはローテーション2,3番手になれる投手。スリークォーター気味のフォームから投げる速球は90マイル台前半だが、腕が長く、今後さらに速くなる可能性は十分。変化球ではスライダーが有効な武器となっている。もう1つの変化球であるチェンジアップはまだまだ。制球は悪くない。故障前から野球選手としては細身の体格への懸念が示されており、TJからの復活に向けて徐々に投球イニングを増やしていくことになるが、その前提としてしっかり体を作ることが再優先課題。(2015年12月)

最速97マイルを記録し、常時90マイル台前半で沈む動きを持つ速球を主体に、スライダーで空振りを取るピッチングスタイル。2016年にはチェンジアップも武器として使えるレベルになった。コントロールも悪くない。先発上位で投げる力を持つ。(2017年3月) 

[Background]
ネバダ州出身で、高校時代はなんとBryce Harperのチームメイト。ただし、当時はむしろサッカー選手として名を馳せており(ネバダ州選抜チームメンバー)、2011年ドラフトではパドレスに24順目で指名されたが入団せずに進学。

大学では、1年、2年と評価を徐々に上げ、3年となった2014年は11試合に先発して76.2回を投げ、防御率1.72、82奪三振と快投。Mountain West カンファレンスの最優秀投手賞を受賞。 2014年ドラフトに向けて、トップ5での指名を予想する識者が現れるほど評価を上昇させていた。しかし、シーズン途中で右ヒジの痛みを訴えて登板を回避し、ドラフトの2日前というタイミングでTJ手術に踏み切った。ナショナルズが全体18位でドラフトしたが当然ながら2014年は全休。

フロリダでのリハビリを経て、2015年6月21日にAuburn(SS)でプロデビュー。SSでは8試合に登板、計35イニングを投げて2.57/1.31、36奪三振という好成績を残し、8月中旬にHagerstown(A)に昇格。Aでの初登板では5回途中6失点と打ち込まれたものの、以降は大きく崩れることはなく、最終戦は5回2安打無失点7奪三振の好投で締めくくった。2015年は計64イニング。 

TJ手術明けかつフルシーズン1年目となった2016年はPotomac(A+)で開幕。当初は打ち込まれ(7試合終了時点での防御率は6.62)心配させたが、5月23日、28日にいずれも無失点の好投。5月下旬にわき腹を痛めて短期間DL入りしたが、復帰した後の8試合で自責点3(防御率0.63)とA+クラスの打者を圧倒し、8月にHarrisburg(AA)に昇格。AAで5試合に先発し、防御率3.99とまずまずの結果を残してシーズンを終えた。2チームで計23試合に先発し、121イニング。前年からの増加は57イニングで故障リスク上昇の1つの基準とされる60イニング増をわずかに下回った。これ以上望めない結果。オフにLucas GiolitoとReynaldo Lopezがトレードで放出されたこともあり、組織内ナンバーワン投手プロスペクトとなった。 

2017年には、NRIとして初めてのスプリングトレーニングに参加。 

[Comment]
健康面でも成績でも期待以上の2016年シーズンを過ごし、組織内ナンバーワン投手プロスペクトに上り詰めました。2017年の開幕は再びAAが濃厚ですが、しっかりと投げ、おそらくは今年中に来るはずのメジャーデビューのチャンスをガッチリつかんでくれることを期待しています。(2017年3月) 

TJ手術からの復帰はまずは順調と言っていいでしょう。大卒のためあまりのんびりもしていられませんが、かと言って無理しては元も子もありません。来季もじっくり作り上げていってくれればいいです。目標は、A+あるいはAAとステップアップしながら、投球回数を100イニングまで積み上げることかな。(2015年12月)

ドラフト前の時点では個人的にはそこまで買っておらず、せいぜいナショナルズの指名順位くらいかと見ていたので、指名時にもそこまで興奮はしませんでした。まあ、指名した以上はしっかり応援していきますが、それもこれも来年のドラフトよりも先の話・・・。(2014年8月)

既に東京では第2ラウンドが始まっています(今日も日本はいい勝ちっぷりでしたね!)が、西半球ではようやく第1ラウンドが終わりましたので、ここまでをまとめておきます。

[プールA(@ソウル)] 
1. イスラエル(3勝) 
2. オランダ(2勝1敗) 
3. 韓国(1勝2敗) 
4. 台湾(3敗) 

開幕戦で延長10回の末に韓国を下したイスラエルが勢いに乗り、まさかの4連勝で1位通過。前回大会でもベスト4に入ったオランダが今大会もいいチームを作ってきて2位通過。ともに2連敗で迎えた韓国と台湾の第3戦は消化試合となってしまい、同じアジア勢としては寂しい思いでした。特に韓国は、もうちょっと頑張れよ。

ナショナルズから出場の選手はいませんでしたが、元ナショナルズでは、(日本戦の際にtwitterで発信したように)2008-2009年にナショナルズで投げたShairon Martisがオランダのブルペン投手として貢献しています(2試合2イニング無失点)。特に、台湾戦では同点に追いついた直後の9回表を無失点で抑え、その裏のサヨナラ勝ちに繋げました。また、イスラエルのエースとしてJason Marquisが韓国戦とオランダ戦に先発し、計4イニングを無失点と好投。また、2016年の春に解雇されるまでナショナルズのマイナー(最後はAA)でプレーしたRandolph Oduberが、オランダの9番レフトとして3試合ともフル出場と頑張りました。

[プールB(@東京)] 
1. 日本(3勝) 
2. キューバ(2勝1敗) 
3. オーストラリア(1勝2敗) 
4. 中国(3敗) 

初戦でキューバとの打ち合いを制した日本が危なげなく3連勝で1位通過。筒香、中田の2人がともに2本塁打ずつ。日本に敗れたものの、主砲Despaigneの満塁弾でオーストラリアを振り切ったキューバが2位通過。中国は3試合で1得点に対して24失点とまだまだ実力不足が露わとなりました。

このプールには元も含めてナショナルズ関係の選手はいませんでした。

[プールC(@マイアミ)] 
1. ドミニカ共和国(3勝) 
2. アメリカ(2勝1敗) 
3. コロンビア(1勝2敗) 
4. カナダ(3敗) 

前回覇者のドミニカ共和国とアメリカが同組となったプールC。結果的にはこの2国が順当に第2ラウンド進出を決めましたが、コロンビアの2敗はいずれも延長戦を戦って力尽きたもので、実は際どいものでした。カナダは3試合とも完敗。

ナショナルズから出場の選手で大注目を集めたのが、ドミニカ共和国のEnny Romero。コロンビアとの試合で同点の10回裏に登板し、2三振を含む三者凡退に抑えて勝利投手となりました。話題となったのはその内容。打者3人に対して投じた14球全て直球(フォーシーム)で、最速100.1マイル、平均98.5マイルと、文字通り力でねじ伏せました。うち10球がストライクとコントロールも悪くない。ナショナルズのキャンプからは離れていますが、開幕ブルペン入りに向けて強烈なアピールとなっています。

コロンビア代表のJhonatan Solanoは、1試合は捕手として、2試合はDHとして先発出場し、3試合で10打数4安打1打点というこちらも好成績を残しました。

一方、アメリカ代表の2人はぴりっとしませんでした。Tanner Roarkはドミニカ共和国戦の5回裏途中から2番手としてマウンドに上がりましたが、5-0とリードして迎えた6回裏にManny Machadoにソロ本塁打、連続四球の後、Carlos Santanaにタイムリーを打たれ計2失点。この回限りで降板したのでその時点ではリードを保っていたものの、ドミニカ打線に反撃の糸口を与えたことは確か。この後の逆転負けの責任者の1人と言わざるを得ないでしょう。Daniel Murphyは初戦のコロンビア戦では7番DHでフル出場したものの4打数ノーヒットの2三振。あとの2試合はベンチを温めていました。

元ナショナルズでは、アメリカ代表のTyler Clippardがコロンビア戦で延長10回表を無失点で終えて勝ち投手になったのを含め2試合計3イニングを投げて許した走者は四球の1人だけ、4奪三振と好投中。また2013年ドラフト4順目で入団し、AAで投げていた2015年夏にJonathan Papelbonとのトレードでフィリーズに移籍したNick Pivetta(昨年はAAAに昇格し、この春はメジャーのスプリングトレーニングに参加し先発機会ももらっている)が、カナダ代表としてコロンビア戦に先発し、4回を1失点と好投しました。

[プールD(@ハリスコ・メキシコ)] 
1. プエルトリコ(3勝) 
2. ベネズエラ(1勝2敗) 
3. イタリア(1勝2敗) 
4. メキシコ(1勝2敗)

4つの第1ラウンドのうち最も激しい闘いとなったのがこのプールDでした。前回大会準優勝のプエルトリコはベネズエラをコールドで降すなど、力のあるところを見せて3連勝で1位通過しましたが、2位争いは熾烈でした。まず9日の初戦、イタリアが4点差を追いかける9回裏に一挙に5点を奪うまさかの大逆転でメキシコに勝利(イタリア○10-9●メキシコ)。続くイタリア対ベネズエラ戦は、4回までに0-5とリードされたベネズエラが一時は8-5と逆転。粘るイタリアに8回裏に追いつかれ、9回表に2点を勝ち越しながら、その裏に再び追いつかれました。しかし、そのイタリアの同点打の際に、一気にサヨナラを狙ったランナーを本塁でタッチアウトにし(ただし、このプレーで捕手のSalvador Perezが負傷)、延長10回表のMartin Pradoのタイムリーで勝ち切りました(ベネズエラ○11-10●イタリア)。2連敗で後がなかったメキシコが、最終戦でベネズエラに打ち勝ち(メキシコ○11-9●ベネズエラ)、これで3チームが2勝1敗で並びましたが、2位通過できるのは1チームのみ。「失点率」で最下位となったメキシコ(得失点差なら+1でトップなのに、ということで揉めました)が脱落し、残るベネズエラとイタリアがタイブレークの一発勝負。この試合も1-2でリードされていたベネズエラが9回表にMiguel Cabreraのホームランで追いついた後、さらに2点を追加して逆転。しかも、2点目はスクイズによるもので、9回裏に粘るイタリアが1点を反したため結局これが決勝点になりました(ベネズエラ○4-3●イタリア)。いやはや、書いていて疲れました。。。

ナショナルズの選手では、メキシコのOliver Perezが2試合、1回1/3を投げて無失点、被安打2という記録を残していますが、実は、初戦のイタリア戦、2点リードの9回裏無死満塁で火消し役を託されながら対戦した2人の打者に連打を許し、逆転サヨナラを喫したときにマウンドに立っていたのがPerezでした。

元ナショナルズの選手では、2009年ドラフト4順目入団(Stephen Strasburgの同期)で2011年の1月にTom Gorzelannyのトレードパッケージの1人としてカブスに放出したA.J. Morris(その後パイレーツ、レッズと渡り歩き、29歳となった昨季レッズのブルペン投手としてメジャーデビュー)がイタリア代表に参加。メキシコ戦、ベネズエラ戦ではいずれも中継ぎとして登板して打たれましたが、タイブレークのベネズエラ戦で先発起用されると、5回を投げて許した走者は四球の1人だけというほとんど完璧なピッチング(5奪三振)。あのまま勝っていればヒーローでしたが、チームが負けては…。

またベネズエラ代表にはYusmeiro Petitが参加し、勝てば第2ラウンド進出が決まったはずのメキシコ戦に先発起用されましたが、2回5失点と期待に応えられず敗戦投手となりました。

MLB.comのナショナルズのプロスペクトランキングです。このリスト(リンク)はシーズン中にも時々更新されていくので、あくまで、2017年3月現在のものです。

1. Victor Robles, OF
2. Erick Fedde, RHP
3. Juan Soto, OF
4. Carter Kieboom, SS 
5. Andrew Stevenson, OF
6. Sheldon Neuse, 3B
7. Koda Glover, RHP
8. Austin Voth, RHP
9. A.J. Cole, RHP
10. Pedro Severino, C
11. Luis Garcia, SS
12. Jesus Luzardo, LHP
13. Rafael Bautista, OF
14. Drew Ward, 3B
15. Anderson Franco, 3B
16. Blake Perkins, OF
17. Osvaldo Abreu, SS
18. Kelvin Gutierrez, 3B
19. Tyler Watson, LHP
20. Jakson Reetz, C
21. Raudy Read, C
22. Yasel Antuna, SS
23. Jose Sanchez, SS 
24. Joan Baez, RHP
25. Nick Banks, OF
26. Brian Goodwin, OF 
27. Jose Marmolejos, 1B
28. Telmito Agustin, OF
29. Daniel Johnson, OF 
30. Armond Upshaw, OF

とにかく投手の少なさが気になります。30人中の7人だけ。Adam Eatonのトレードで上位にランクインしたはずの3人を手放したことである程度想定はしていましたが、これほどまでに少ないとは。それでもトップ10内には4人とまずまずで、問題はむしろ下層。11位以下の20人中わずか3人という有様です。個人的には、昨シーズン中もマイナーリーグ・レポートで何度か紹介したWeston DavisとMcKenzie Millsの若手2人と、Danny Espinosaのトレードで獲得したAustin AdamsとKyle McGowin の2人くらいは入ってもよかったのにと思わないでもありません。

野手陣の中では、昨年のドラフト組への比較的高い評価が目立ちます。特に、 ドラフト2順目のSheldon Neuseへの評価はきわめて高い。まあ、ラテン系の選手にしてもそうですが、全体的に実績よりも期待感が重視されているという印象を受けます。

いよいよ3月6日から第4回WBCが開幕。初戦でいきなりイスラエルが韓国を破る番狂わせがあり、日本は7日に初戦を迎えます。

当ブログでは、ナショナルズからの参加選手を中心に、日本代表や全体のトーナメントの流れもいちおうフォローしておこうかと思っています。

早速ですが、ナショナルズからの参加選手は以下の6人。

[USA] 
Daniel Murphy, 2B
Tanner Roark, RHP

[Mexico]
Oliver Perez, LHP
Rafael Martin, RHP

[Dominican Republic]
Enny Romero, LHP

[Colombia]
Jhonathan Solano, C

Tanner Roarkは米国にとっては第2戦、11日のドミニカ共和国戦での先発が予定されています。Oliver Perezはなんと2006年から4大会連続の出場。おそらく全チームで唯一人、史上最多出場記録でしょう。

スプリングトレーニングのオープン戦を10試合消化し、ここまで5勝4敗1分のナショナルズ。ここまでの話題・結果をまとめておきます。

●投手陣の故障者情報
投手陣では、先週書いたMax ScherzerとTim Collins、それに契約したばかりのJoe Blantonの3人を除けば、少なくとも1度は登板。Scherzerの実戦登板は未定のままですが、少なくとも回復に向かっているようです。Blantonはもう少し調整が必要なものの開幕には十分間に合うとのことです。一方、新たな故障者としては、Nick Leeが 5日の登板で肘を痛めてイニング途中で降板。ちょうどライブ中継を見ていましたが、軽傷には見えませんでした。心配です。

●先発5番手争い?
ローテーション投手では、(WBCに向けて調整を早めていた)Tanner Roarkが2登板で7回無失点という完ぺきな仕上がりでWBCに出発。Gio Gonzalezも2試合で4回無失点。故障からの回復状況が注目されたStephen StrasburgとJoe Rossの2人も、問題なくそれぞれ1度、2イニングずつを無失点。つまり、4人で計15イニング無失点。順調そのものです。

問題は、Max Scherzerが間に合わなかった場合の先発5番手。期待したいA. J. Coleですが、2度の先発機会の計4回2/3で10安打8失点と打ちこまれています。この春は体重を増やして球速自体は上がっているようですが、結果は伴っていません。むしろ二番手以降の登板ながら3回無失点のAustin Voth、1度の先発を含め4回1失点のJeremy Guthrieのほうが内容も結果も良好。Scherzerの回復具合も含め、この後の展開に注目です。

●クローザー争い
未だ白紙のままのクローザー争い。候補者のうち、Blake TreinenとKoda Gloverの2人はそろって「2イニング無失点4奪三振」と好投。Shawn Kelleyも2回1失点とまあ順調に調整を進めています。加えて、(こちらもWBC参加のためか)早くも90マイル台後半をたたき出していたEnny Romeroが3イニングで許した走者は四球の1人だけの好投。さらには、マイナー契約のJoe Nathanも90マイル台をコンスタントに記録し、3度の登板で1失点とまだ力が衰えていないところを見せています。さてさて、どうなるでしょうか。

●野手陣の故障者情報
野手陣では、左肘の痛みで60日DL入りとなったJose Marmolejosと、契約したばかりのMatt Wietersの2人を除く全選手が実戦出場。Matt Wietersもブルペンで自軍の投手陣のボールを受けることに専念しているということで、特に心配はなさそうです。先週書いたPedro Severinoも問題なく出場しています。一方、Emmamuel Burrissが右肩痛を発症し、4日以降出場していません。

●2番手捕手争い?
レギュラー捕手はMatt Wietersで確定。控え捕手はJose Lobatonが有力とみられていますが、意外と面白い展開になっています。まず、Lobatonが12打数で2安打(.167)と低迷。それに対し、トレードが濃厚と噂されているDerek Norrisが7打数3安打(.429)、若手のPedro Severinoも5打数2安打といい滑り出しを見せています。さらに、この競争に割って入るのは現実的ではないものの、マイナー契約のJhonathan Solanoが12打数10安打(.833)というとんでもない数字を残してWBC(コロンビア代表)に旅立っていきました。まあ、もともとLobatonに打撃が期待されているわけではないので既定路線に大きな変更はないでしょうが、面白い状況ではあります。

●生き残りをかけた選手たちの戦い
レギュラー陣はゆっくり調整すればいいので、序盤のこの時期の成績はどうでもいい。まあ、新加入のAdam Eatonが6試合で4安打と順調な滑り出しを見せてくれて一安心といったところでしょうか。

現時点での注目は生き残りをかけた選手たちの戦いです。

まず目立つのはMichael Taylorの好調ぶり。20打席で打率.389。サヨナラ本塁打を含め、いずれもチームトップの2本塁打5打点と気を吐いています。ただ、昨年もスプリングトレーニングは絶好調だったのに開幕後は全く打てなくなっただけに、春にいくら数字を残しても信頼を得られないのが辛いところ。

他に生え抜きの若手では、Wilmer Difoも19打席で.353と好調。外野守備も試されるなど、ユーティリティとしての期待が高まっています。Andrew Stevensonも17打席で.353。三振の多さ(6つ)が少し気にはなりますが、外野守備でも評判通りのいい動きを見せており、評価は上がる一方です。マイナー契約のベテラン勢ではBrandon Snyderが14打席で.417と頑張っています。

一方、残念なスタートとなっているのが、Clint Robinson(16打席で.214)、Brian Goodwin(17打席で.077)、Matt Skole(13打席で.100)あたり。そろそろ結果を出さないと立場が苦しくなります。特にRobinsonは応援したい選手。頑張れ!

Fangraphs からもナショナルズのトップ20プロスペクトが発表されていました(元記事)。

目立つのは、9位のJesus Luzardoと10位のOsvaldo Abreuへの評価が高いこと。また、Carter Kieboomのポジションがサードになっているのも気付きます。Kieboomは昨季はGCLショートを守っていましたが、記事を読むと、成長して体格が大きくなると守備範囲が限られることになる結果、サードが適任だろうとのことです。

1. Victor Robles,  CF
2. Juan Soto, 18
3. Erick Fedde, RHP
4. Luis Garcia, SS
5. Carter Kieboom, 3B
6. Koda Glover, RHP
7. Andrew Stevenson, OF
8. Sheldon Neuse, 3B
9. Jesus Luzardo, LHP
10. Osvaldo Abreu, UT
11. Kelvin Gutierrez, 3B
12. A.J. Cole, RHP
13. Pedro Severino, C
14. Rafael Bautista, OF
15. Austin Voth, RHP
16. Blake Perkins, OF
17. Joan Baez, RHP
18. Brian Goodwin, OF
19. Jose Marmolejos, 1B
20. Anderson Franco, 3B

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