続いて、やはり2016年のMy Top 10 Prospects の1人でもある、2015年ドラフト最上位指名(2順目)のAndrew Stevenson外野手。

[Player Data]
Name: Andrew Stevenson
Position: OF (CF)
Born: June 1, 1994
Birthplace: Lafayette, Louisiana
School: Louisiana State
Height: 6-0
Weight: 185
Bats: Left
Throws: Left
Draft: 2015-2 WAS
Acquired: Draft (2015)
BA Organization Rank: 8(2016)
BA Overall Rank: NA

[Scouting Report]
何と言っても高い評価を得ているのはセンターの守備力。肩はそれほどではないが、読みの良さ、反応の速さ、そして俊足で、とにかく広い守備範囲を誇る。俊足は当然ながら盗塁・走塁での高評価につながっている。やはり俊足を活かして安打を稼ぐコンタクトヒッター。パワーはない。将来的には「1番センター」が期待される。いつもエネルギー全開でプレーするスタイルで周囲を鼓舞する姿勢も高い評価を受けている。

[Background]
高校時代は全くの無名でドラフトにはかからず。ルイジアナ州立大の2年時から打撃に目覚めて評価を上げ、元々評価の高かった守備・走塁もあって主力となり、3年時にの2015年はチームのカレッジ・ワールドシリーズ進出に貢献。2015年ドラフト2順目(全体58位)でナショナルズが指名(Max ScherzerとFA契約したため1順目指名権を失っており、Stevensonがこのドラフトの最上位指名)。

カレッジ・ワールドシリーズが終わってからの契約となったが、Auburn(SS)に合流して18試合で.361/.413/.431と結果を残し、7月末にはHagerstown(A)に昇格。そこでも35試合で.285/.338/.358と最低限の適応を見せた。合計で1本塁打、23盗塁。シーズン後、2016年1月に発表されたMLB.comのJonathan Mayoによる守備力だけで評価したベスト・プロスペクトリストの外野手部門にツインズのByron Buxton、カブスのAlbert Almoraとともに選ばれている。

2016年はHagerstownからスタートが予想されたが、Potomac(A+)で開幕。開幕から11試合連続安打を記録するなどとにかく打ちまくり、A+の投手を圧倒。6月に開催されたCarolina-Californiaのオールスター戦でも5打数3安打2打点の活躍でMVPを受賞。その週には週間MVPも受賞。68試合で.304/.359/.418、27盗塁の堂々たる成績を引っ提げて、6月末にHarrisburg(AA)に昇格。昇格後はやや苦しみ、65試合で.246/.302/.328、12盗塁の成績に終わったが、プロ2年目でAAに到達したことは評価できる。オフにはアリゾナ秋季リーグにも参加。

[Comment]
ドラフト時には全く期待していなかったので、守備面だけでなく打撃面でも好成績を残していることは嬉しい誤算。金髪のロングヘアーで常にエネルギー全開というプレー・スタイルでオールスター戦でのMVPを受賞してしまうところなど、数字には表れないものを「持っている」選手なのかもしれません。長打力がこれだけないとメジャーのレギュラーを獲るのは難しいと予想しますが、この予想も裏切ってくれることを期待します。(2016年10月)

さらにもう1人、2016年のMy Top 10 Prospectsに選んだ高卒左腕のTyler Watsonです。

[Player Data]
Name: Tyler Watson
Position: LHP
Born: May 22, 1997
Birthplace: Gilbert, Arizona
School: Perry HS (Arizona)
Height: 6-5
Weight: 200
Bats: Right
Throws: Left
Draft: 2015-34 WAS
Acquired: Draft (2015)
BA Organization Rank: NA
BA Overall Rank: NA

[Scouting Report]
長身の左腕。既に高校時代から90マイルを超える速球は、そのムーブを含めて高く評価されていた。体格が仕上がっていけば更に球速が上がると見込まれるが、必ずしもパワーピッチャーではなく、制球で勝負できる。変化球は、高校時代から縦に割れるカーブは持っていたが、プロ入り後チェンジアップの習得に取り組んでいる。変化球が今後のステップアップのカギを握る。

 [Background]
高校3年時の2015年ドラフト34順目でナショナルズが指名。指名順位が低く、大学進学も内定していたので契約できるとは思われていなかったが、40万ドルという破格のボーナス提示もあって契約に成功。GCLナショナルズに所属し、わずか5試合13回1/3とはいえ、無失点、16奪三振、4四球という好成績を残した。(この時点でMy Top 10 Prospectsに選出。)

2016年はGCLでじっくり育成かと思いきや、いきなりAuburn(SS)で開幕。しかも開幕戦のマウンドに送られ5回無失点8奪三振。以降も年長の打者ばかりのリーグで好投を続け、8月のNew York Penn Leagueのオールスターに選出される。最終的にSSでは計9試合43イニングを投げ、1.88/0.91、48奪三振、9四球という文句の付けようのない成績を残してシーズン最終盤にHagerstown(A)への昇格。3試合に先発してシーズンを終えた。

[Comment]
ドラフト指名順位は低かったものの、高卒左腕投手という夢のある選手。その夢に賭けて2015年オフにMy Top 10 Prospectsに選んでみましたが、2016年はその期待にしっかり応えてくれました。同じように下位指名だったTanner Roark(まあそれでも25順目でしたが)のような大化けを期待して見守りましょう。(2016年10月)

L5-6 @LAD (Series 2-2)
Ross 2.2IP 4ER 3H 2BB 3K
Lopez 2.0IP 1ER 2H 1BB 3K
Treinen(L) 1/0IP 1ER 2H 2K
Turner 3/5 2R
Murphy 2/3 SF 4RBI
Werth 2/3 HBP RBI

ナショナルズが王手を賭けて迎えた第4戦。後のないドジャーズは、エースClayton Kershawを中3日で投入してきました。1回表、そのKershawに対し、先頭のTrea Turnerが初球をレフト前に弾き返すシングルで出塁すると、続くBryce Harperは粘った末に10球目で四球を選んで1,2塁。1死後、Daniel Murphyが一二塁間を破るシングルであっさりと1点を先制しました。このシリーズ、初めてナショナルズが先制点を記録。

ただ、そのリードは長く続きませんでした。その裏、ナショナルズの先発Joe Rossが、簡単に2死(Corey Seagerも空振り三振)をとりながら、Justin Turnerに死球をぶつけた後、Adrian Gonzalezに右中間スタンドへの2ランを打たれ、またも初回を終わって追いかける展開となりました。

それでも、3回表には、再び先頭打者として打席に入ったTrea TurnerのシングルをきっかけにMurphyの犠飛で同点としましたが、Rossがダメでした。その直後、2死2塁からJustin Turnerにタイムリーを打たれて勝ち越しを許すと、この後、四球、四球で満塁にしてしまい、Joc Pedersonには押し出し死球。わずか2回2/3で交代を告げられてしまいました。長く休んで復帰してきた若手にポストシーズンでの先発は荷が重かったかなという印象だけが残りました。

もっとも、継投が必要になることは想定の範囲内。このこのピンチと4回を無失点で終えたOliver Perezを挟み、5回からは予定通りReynaldo Lopezが登板しましたが、Lopezも、5回裏2死走者なしから、シングル、ダブルの連打で1点を献上。内容的にはRossよりもずっと良かったように見えただけに、あの5回裏の1点はもったいなかった。6回裏はLopezが無失点に終えましたが、打線はその後Kershawに抑え込まれており、6回を終えて2-5。かなり厳しい展開でした。

が、90球近くなったのに7回表も続投したKershawに対して打線が攻勢をかけます。口火を切ったのは先頭のDanny Espinosa。このシリーズ100打席目でようやくの初安打となるレフト前シングル。2死とはなりましたが、Trea Turnerがショートの右への緩いゴロの内野安打(セカンドへの送球よりEspinosaの足が一瞬早くセーフ)。Harperを迎えるところでDave Roberts監督がマウンドに足を運びましたが、Kershawの強い意思もあって続投。サイヤング投手とリーグMVPのガチンコ対決は見ていてしびれましたが、結果は、粘りに粘った末にHarperが四球を選んで2死満塁。110球となったKershawをマウンドから引きずり下ろしました。ただ、この時点での勢いは、まだ地元ファンの後押しを受けたドジャーズにあったように感じました。

ところが、代わったPedro BaezがJayson Werthへの初球を豪快にぶつけて押出し。これで雰囲気が変わりました。ドジャーズはピッチャーを左のLuis Avilanに代えますが、ポストシーズンで滅法強いMurphyの勢いを止められず、カウント1-0からの2球目をセンター前に落とす同点の2点タイムリー。Murphyはこの試合だけでも3度の打点付きの打席で計4打点という素晴らしい活躍。

ただ、ナショナルズとしては痛かったのが、この後なお、2死1,3塁の勝ち越し機にAnthony Rendonが凡退し、試合を決められなかったことでしょう。この打席を含め、今日はRendonと続く6番のRyan Zimmermanがそろって4打席ノーヒット2三振とブレーキになってしまいました。

この後はブルペン勝負。望むところだったのですが、8回裏にまたしても2死からやられました。マウンドにはBlake Treinen。打者を圧倒するピッチングで簡単に2死を取り、打席には9番のAndrew Toles。もう大丈夫だなと思った私は実は所用でちょっと目を離しました。ところが、2球目を死球、代打Andre Ethierにシングルで続かれた後、Chase Utleyにセカンドの左をゴロで抜く破るタイムリーを打たれ、これが決勝点。まあ、Treinenの投球は決して甘く入ったわけでもなく、Utleyを褒めるしかないかなという感じの打席でした。仕方ない。

9回表のマウンドにはKenley Jansen。昨日は打ち込みましたが、今日は代打Stephen Drew、Trea Turnerが三振、Harperがニゴロでゲームセット。もう一度Murphyまで回すことはできませんでした。

ナショナルズの失点は全て2アウトから。逆にナショナルズの7回の3得点も2アウトから。「野球は2アウトから」を改めて実感した試合でした。

明日の移動日を挟み、第5戦はホーム・ワシントンDCで13日午後8時(日本時間14日午前9時) から開始予定。うーむ、さすがに観戦できなさそうだ。勝ってくれ。

なお、NLDSのもう1つのカードは、第4戦でカブスがジャイアンツを降しました。さあ待ってろ。

まだナショナルズのポストシーズンが続いている中ですが、11日からアリゾナ秋季リーグが開幕しました。ナショナルズ傘下から派遣される選手は次のとおり。大いにアピールしてきて下さい。

(それぞれ名前の右は、年齢と今季の最終所属レベル)

Austin Voth, RHP (24, AAA)
Nick Lee, LHP (25, AA)
Ryan Brinley, RHP (23, AA)
Drew Ward, 3B (21, AA)
Andrew Stevenson, CF (22, AA)
Osvaldo Abreu, SS (22, A+)
Jake Johansen, RHP (25, A+)

例年のことですが、トッププロスペクトに経験を積ませる側面と、12月のルール5ドラフトに向けてプロテクトするかどうかの選別という側面の両面から派遣されています。

LeeとWardは2年連続の参加。Leeは、昨年のルール5ドラフトを前に40人ロースター入りを果たしましたが、その後DFAされた(ウェイバーでクレームするチームは無かった)という経緯があるので、ルール5前のテストという側面は低いと思います。Wardはまだルール5プロテクト前なので経験重視。2015年ドラフト組のStevensonとBrinleyも、もちろん経験を積ませるため。

VothとJohansenの2013年ドラフトの2人はまさにルール5に向けた選別の対象。40人入りを果たすかどうかの正念場です。ま、Johansenについては(残念ながら)ほとんど諦めています・・・。

Abreuはドミニカ共和国出身で(6月の)ドラフト対象外なので今年のルール5の対象かどうかははっきり分かりません。丸5年プレーしているので可能性はあると思いますが、22歳でそこそこ打てるショートなのでプロスペクト扱いかもしれません。よく分かりません。

L3-4 Dodgers (Series 2-3)
Scherzer 6.0+P 1ER 5H(1HR) 2BB 7K
Rzepczynski(L) 0.0+IP 1ER 1BB
Heisey 1/1 HR R 2RBI
Espinosa 1/3 BB R RBI
Murphy 1/3 R 2BB
Harper 1/3 2BB

ホームでエースを立てて迎えた第5戦。試合展開も2012年、2014年とは違って落ち着いたもので、今回こそは行けると期待しました。が、「3度目の正直」もならず。

第4戦までのように丁寧な記事を書く気力が湧きませんこと、ご容赦下さい。

● Max Scherzerは期待に違わない、第1戦の汚名を返上する素晴らしいピッチングだったと思います。5回表1死満塁を乗り切ったときは、この試合もらった!と思ったのですが。

● 打線は、1点こそ先制しましたが、十分なリードを奪えませんでした。チャンスには尽く打てず。特に痛かったのは、2度の1死1,3塁でいずれも3塁走者を返せなかったこと。特に7回のJayson Werthは3点差から1点差に迫って雰囲気は押せ押せだっただけに失望も大きかったですね。

● 7回にブルペンが打たれたのは事実。とはいえこのシリーズここまで頑張ってきたブルペンを責める気にはなりません。むしろ責めるならBaker監督の継投ミスでしょうが、詳しく書く気にはなりません。ただ、Baker監督がポストシーズンの大一番で負け続けてきたことは偶然ではないんでしょうね。

●  この7回にはShawn Kelleyが右腕を痛めて降板。明らかに酷いことになっている感じでしたが、試合後、本人は「少し休めば大丈夫」とコメントしています。とはいえ。2度のTJからの生還者だけに心配。

● そして、1点を追う最終回。1死からBryce HarperとWerthが歩き1死1,2塁として打席にはDaniel Murphy、ここでドジャーズはClayton Kershawを投入。0-1からの2球目、高めに入った速球で、Murphyの得意な球だったと思います。が、結果はセカンドへのポップフライ。さすがにWilmer Difoには荷が重かったですね。

まあ、Kershaw 対 Murphyで負けたら諦めも付くかなぁ。

って、そんなわけなーい!諦めなんて付きませんよー。あーもったいない試合だったー。

2016年、終戦です。

私はいつまでこのブログを続けるのでしょうか・・・。(まずはArizona Fall Leagueを含めプロスペクト方面に手を伸ばそうかなあ。)

NLDSの最中ですが、Trea Turnerが公式のナ・リーグの最優秀新人賞を受賞したことを記事にしていなかったことに気付きました。しかも、2か月分。おかしいなぁ・・・。

妙なタイミングですがご容赦下さい。

活躍ぶりはそれぞれの月間レビューで記事にしたので(8月分、9-10月分)数字以外は繰り返すことはしませんが、本当に文句の付けようのない素晴らしい成績です。

August 2016
131PA 27R 5HR 15RBI .357/.366/.571 11SB

September/October 2016
129PA 19R 8HR 18RBI .339/.380/.612 15SB

ナ・リーグ新人王は、まさに今NLDSで直接対決となっているドジャーズのCorey Seagerが全会一致で受賞するだろうと言われています。確かにシーズン成績は下記の通り、やや差があります。

PA H R HR RBI BB K AVE OBP SLG SB
Trea Turner 324 108 53 13 40 15 59 .342 .370 .567 33
Corey Seager 687 193 105 26 72 54 133 .308 .365 .512 3
しかし、Turnerが本格的にデビューした7月10日以降だけに限るとSeagerの数字はこうなります。
PA H R HR RBI BB K AVE OBP SLG SB
Corey Seager 302 89 45 9 31 21 57 .320 .374 .496 2
全く遜色ありませんね。
真の新人王に相応しいのはどちらか、この際NLDSで白黒つけてもらいましょう!(注: 記者による投票は、レギュラーシーズンが終了してからワイルドカードゲームが始まるまでに締め切られています。)
(表題の日付からして間違っていたので、ちょこちょこ訂正しました。)

W5-2 Dodgers (Series 1-1)

Roark 4.1IP 2ER 7H(1HR) 3BB 1K  
Rzepczynski 1.1IP 0ER 3BB 2K
Solis(HD) 0.1IP 0ER 
Treinen(W) 1.1IP 0ER 2K 
O. Perez(HD) 0.2IP 0ER 
Melancon(SV) 1.0IP 0ER 1H 1K 
Lobaton 1/4 HR(1) R 3RBI GIDP
Murphy 3/3 BB R 2RBI
Turner 2/4 R SB(1) 
雨のために一日延びた第2戦。日本時間午前2時からとなり、またもしっかり観戦できました。
ナショナルズ先発のTanner Roarkが1回表1死からCorey Seagerにソロ本塁打を打たれ、その裏、ナショナルズ打線はRich Hillの前に三者三振と、第1戦のリプレイを見るかのような展開の序盤は嫌な流れでした。
今日はRoarkの生命線である左打者の膝元へのツーシームが全く決まりませんでした。いい時のRoarkは、左打者の体に当たりそうに見えた球がシュート回転してプレートをかすめ、見逃しのストライクをコールしてもらうのですが、今日は、まず思ったコース・高さに行かない、曲がらない、審判にコールしてもらえないで、ほとんど使い物になりませんでした。こうなると必然ですが、甘く入ったボールを打たれます。2回表は1死満塁とされながらも投手のHillを三振、Chase Utleyを一ゴロに打ち取って切り抜けましたが、3回表にはJosh Reddickにライト前タイムりーを打たれて2点目を失ってしまいました。しかし、第1戦のMax Scherzerとの違いは2本目のホームランを打たれなかったこと。この後敬遠四球でまたも1死満塁としましたが、Yasmani Grandalを4-6-3の併殺を打たせて切り抜けました。
一方、打線はHillの前に3回まで無得点。2回裏にはDaniel Murphyのシングルの後、四球と死球で1死満塁のチャンスをもらいましたが、Jose Lobatonは最悪1-2-3の併殺。しかも、満足に1塁までダッシュできない様子でファンを消沈させる始末でした。Lobatonについては、3回表の失点の場面も、本塁でのタッチプレーのタイミングはアウトだったのに、ライトBryce Harperからの送球をLobatonが落球してセーフとなったもの。Pedro SeverinoではなくLobatonを先発起用したBaker監督の采配に、正直に言えば疑問を感じていました。はい。
しかし、4回表に意外な形でこの試合のターニングポイントが訪れます。1死走者なしの場面でHillがセカンドへのバントシングルで出塁。もしMurphyがきれいに捌いていればアウトの可能性が高い打球でしたが、Murphyはこれをお手玉。さらに続くUtleyの打球は鋭い当たりのファーストゴロで、これもRyan Zimmermanがきれいに捌いていれば併殺も十分あり得た、少なくとも二塁でHillがフォースアウトになった(そしてベンチで休めた)はずの打球でしたが、Zimmermanはグラブに当てて後逸し、結果は一塁のみアウト。次の打者がアウトになってイニングが終了するまでの間、塁上にいたHill。肩で息をしているシーンもあり、明らかに疲れた様子が見て取れました。
そして迎えた4回裏。そのHillから四球と死球で2死1,2塁のチャンスをもらうと、打席にはLobaton。カウント1-1からの3球目。高めに入ってきた緩いカーブを叩いてレフトのブルペンに放り込みました。逆転3ラン。セカンドから生還してきたMurphyのサードを回ったところでのガッツポーズは、この試合の象徴的なシーンとなりました。カーテンコールも起き、チームの、そしてファンの雰囲気を一気にひっくり返すまさに値千金の一撃。Lobaton、ありがとう!(見事なまでの手のひら返し(笑)。Baker監督、疑問を持ってしまい申し訳ありませんでした!

5回裏にも1死1,3塁からのMurphyのタイムリーで1点追加し、Hillをノックアウトします(この時点で4-2)。

一方のRoarkも、Hillと同じ4イニングと1/3を記録しただけで、5回裏、ランナーを2人残しての降板となりました。悪いなりに最低限の仕事をしたという印象。ここからはブルペン勝負となりましたが、2番手のMark Rzepczynskiが、四球で1死満塁としながらも何とか堪えてつなぐと、以降はほとんど完ぺきな仕事ぶり。特に、4番手で出てきたBlake Treinenはドジャーズの打者を圧倒していました。Murphyにもう1本タイムリーが出て3点差となって迎えた9回は、クローザーのMark Melanconがマウンドに上がり、危なげなく締めてゲームセット。
シリーズを1勝1敗のタイとし、敵地ロサンゼルスに乗り込みます。(次戦は日本時間11日午前5時からとなります。)

MVP: Jose Lobaton
W8-3 @LAD (Series 2-1)
Gio 4.1IP 3ER 5H(1HR) 1BB 4K
Solis(W) 1.2IP 0ER H BB K
Kelley(HD) 1.2IP 0ER 3K
Werth 3/4 double HR BB 2R 2RBI
Harper 1/2 2BB 2R RBI
Zimmerman 2/4 double BB R 2RBI
Rendon 1/4 BB R 2RBI

舞台をロサンゼルスに移しての第3戦。やはり西海岸の空はキレイですね、というのが第一印象の中継でした。

1回表にナショナルズが2死満塁のチャンスを活かせなかった後の1回裏。先発のGio Gonzalezが1死から四球を与え、3番に入ったCorey Seagerに右中間への先制タイムリー二塁打を打たれました。また初回のSeagerです。フェンスオーバーとならなくて良かったと言ったほうがいいのかもしれませんが、それにしてもまたも1点ビハインドの立ち上がり。

ドジャーズの先発は、前田健太。広島時代から好きな選手なのでこんなところで対戦するのはあまりいい気分ではありませんでしたが、仕方ありません。初回、2回は無得点でしたが、打順が二順目に入った3回表に捕まえました。Trea Turnerのセンター前シングルに続き、Jayson Werthが甘く入った速球をライト線に鋭く弾き返し、快足を飛ばしたTurnerが一気に生還して同点。1死3塁となってBryce Harperがいとも簡単そうにライト前に落とす勝ち越しタイムリー。更に二盗・悪送球で再び1死3塁となって、Anthony Rendonがレフトへ2ランホームラン。これで4-1とし、この回限りで前田を降板させました。

一方、ナショナルズ先発のGio Gonzalez。ドジャーズ打線は左投手に弱いというデータから、このシリーズのカギを握る投手との事前分析もFOXやSIなどにはありましたが、シーズン終盤のGioの不安定なピッチングを見せられてきたナショナルズのファン・記者の目はずっと覚めていました。2回、3回、4回は走者を1人許しただけの無失点で終えましたが、フルカウントが多く球数を要したり、4回の3アウトは全て外野のフェンス際へのフライだったりで、決して安定感のあるピッチングではありませんでした。5回裏1死1塁から代打Carlos Ruizにカウント3-1からの投球をレフトスタンドに放り込まれて1点差とされた時点で降板を命じられましたが、納得です。

ここから先は今日もブルペンが素晴らしかった。Gioの後を受けたSammy Solisが6回までの5つのアウトを落ち着いて記録し、結果的に勝利投手となりました。7回裏1死1塁でこのシリーズ初めてマウンドに上がったShawn Kelleyは対戦した5人を完璧に抑え(うち3つは三振)、1点差を守って9回まで運びました。

ナショナルズ打線もドジャーズブルペンを攻略できず1点差のままで推移しましたが、9回表、ドジャーズとしては反撃の狼煙のつもりで投入したクローザーのKenley Jansenに攻めかかり4得点。その口火を切ったのが先頭打者Werthのレフトスタンド最上段まで達する超特大の一発。Jansen登板で盛り上がったスタンドを一瞬で沈黙させました。この本塁打は、なんというか、精神的に破壊力がありました。気落ちしたJansenから四球、死球でランナーをため、Ryan Zimmermanがライトフェンス際への大飛球の二塁打を打ち、二者が生還してJansenをノックアウト。代打Chris Heiseyも犠飛を打って突き放しました(Jansenの自責点は4)。

5点差となった最終回は、1点差のつもりで準備していたMark Melanconがそのままマウンドに上がり、あっさりと3人で抑えてゲームセット。

ここまでのこのシリーズでは、ブルペン投手陣がとにかく素晴らしい。計12回1/3を投げて無失点。特にSammy Solisは3試合連続で起用されて計4回を無失点という大活躍です。また、Baker監督の起用法も冴えています。昨日はMark RzepczynskiとBlake Treinenに長いイニングを投げさせ、1点リードの8回もTreinenとOliver Perezで乗り切ってKelleyを温存。今日はKelleyが長いイニングを投げ、RzepcznskiとTreinenは休養したことで、明日以降、十分期待できます。ちょっと心配なのはやはり3試合連続で投げているMelanconですが、クローザーの責任感で乗り切ってくれることでしょう。FA前で気合も入っていることでしょうし。

これで2勝1敗とシリーズをリード。これは、2012年、2014年には経験しなかった状況。明日はJoe Ross/Reynaldo Lopezコンビが登板予定ですが、1つ負けてもホームに帰っての第5戦(Max Scherzer先発)が待っていると思って、気楽に投げればきっといいピッチングができることでしょう。

MVP: Jayson Werth.

ア・リーグでは、ブルージェイズ(対レンジャーズ)とインディアンズ(対レッドソックス)が、いずれもディビジョン・シリーズを3連勝で制し、リーグ・チャンピオンシップへの進出を決めました。

レッドソックスのDavid Ortizはこれで現役引退。お疲れ様でした。2004年のポストシーズンでの活躍はちょっと言葉で語り尽くせないですね。ありがとう、Big Papi。

2年ぶり3度目の地区優勝を達成。大きな足踏みをするわけでもなく、かと言って最終戦でJordan Zimmermannがノーヒッターを達成した2014年のような異様な盛り上がりを見せるわけでもなく、着実に、粛々と、レギュラーシーズンを締めくくりました。

[National League EAST End of 2016 Season]

W L PCT GB
Washington 95 67 0.586
New York 87 75 0.537 8.0
Miami 79 82 0.491 15.5
Philadelphia 71 91 0.438 24.0
Atlanta 68 93 0.422 26.5

マジック18から始まった9月。12~14日のメッツとの最後の直接対決を2勝1敗と勝ち越し、この時点でマジック7。その後ちょっともたつきましたが、最終的に24日に地区優勝を決めました。最終成績は、95勝67敗。これは2012年の98勝、2014年の96勝には及びませんでしたが、それでもナ・リーグ2位の立派な成績。9-10月の成績は17勝12敗でしっかりと勝ち越し、全ての月間成績で勝ち越す安定した戦いぶりでした。また、最後に2連勝したことでマーリンズにも10勝9敗とシーズン勝ち越しを決め、ナ・リーグ東地区のライバル全てに勝ち越す「完全地区優勝」を達成。これは、2012年、2014年にもできなかった偉業です。

地区2位はメッツ。月間18勝で、ジャイアンツ、カージナルスとの熾烈なワイルドカード争いを制しました。3位のマーリンズは、Jose Fernandezの悲劇もあり、終盤失速して負け越しでシーズンを終えました。4位はフィリーズでしたが、突然9-10月に調子を上げて18勝したブレーブスとの差はわずか2.5ゲーム差でした。なお、マーリンズとブレーブスとの試合数が161なのは、Jose Fernandezの事故死が伝えられた日の試合を中止(延期ではなく)したためです。

ナ・リーグ他地区を見ると、中地区ではカブスが圧巻の103勝。西地区ではドジャーズが91勝で地区優勝を早々に決めましたが、偶数年にワールドシリーズを3連覇(?)しているジャイアンツが最後に4連勝し、やはり4連勝と食い下がったカージナルスを1ゲーム差で振り切ってワイルドカードの最後の席に着きました。

NLDSの組み合わせは、ナショナルズvs.ドジャーズと、カブスvs.(メッツとジャイアンツの勝者)となっています。

[Pitcher of September/October 2016: Max Scherzer]

GS IP W K ERA WHIP
Max Scherzer 6 38.1 5 46 3.29 1.25
Tanner Roark 6 34.2 2 33 2.60 1.18
A.J. Cole 6 25.2 1 27 5.26 1.19
Gio Gonzalez 5 23.0 1 25 7.43 1.78
Joe Ross 3 9.2 0 14 2.79 1.76
Stephen Strasburg 1 2.1 0 4 3.86 0.86
G IP SV HLD ERA WHIP
Mark Melancon 15 16.0 10 0 2.81 0.88
Blake Treinen 13 11.1 0 6 0.79 1.15
Shawn Kelley 12 10.1 0 3 0.00 0.29
Mark Rzepczynski 10 6.2 0 3 2.70 1.20
Sean Burnett 10 5.2 0 0 3.18 1.08
Koda Glover 10 8.2 0 1 7.27 1.27
Reynaldo Lopez 6 18.2 0 1 4.34 1.39

9月7日に激震が走りました。背中の痛みから復帰し約2週間ぶりのマウンドに上がったStephen Strasburgが先発しましたが、3回表途中に右ひじの痛みを訴えて降板。2度目のTJ手術かと心配され、騒然となりました。腱は断裂してはいないとの診断結果でとりあえず手術せずにリハビリを続けていますが、NLDSでの登板はとても無理。チームが勝ち進んだ場合のNLCS以降の登板可能性は排除されていませんが、現実的にはないでしょう。長期契約を結んだばかりでの、この故障のショックは大きいです。

代わりというわけではありませんが、18日にJoe RossがDLから復帰。右肩痛で7月にDL入りしてから約2か月ぶりの復帰。少しずつ球数を増やし、最後の登板でようやく90球を超え、ポストシーズンでのピッチングにメドが立ったのは朗報でした。

ポストシーズンでの先発が予想される投手陣ではTanner Roarkは安定感抜群。打線の援護に恵まれず今月は2勝止まりでしたが、それでも自己最多のシーズン16勝を記録。一方で、Gio Gonzalezは不安定の固まり。それでも、NLDSの相手ドジャーズは左投手を苦手にしているというデータがあるので、「いいGio」が出ることを祈るばかりです。

そして今月もエースの仕事をしたのがMax Scherzerです。味方の援護もあったとはいえ、今月だけで5勝を積み上げて最終戦でシーズン20勝に到達。リーグ最多勝のタイトルを獲得しました。最後の数試合は、なんというか、負ける感じがありませんでしたね。リーグ最多奪三振のタイトルも独走で獲得。投球イニングもリーグ独走トップ。サイヤング賞、取れたと思うのですが、どうでしょうか。。。

そして今更気づきましたが、今月はA.J. Coleがローテーションを守って6試合に先発し、2日にはメジャー初白星も記録しました。ただ、登板を重ねるにつれて安定感を失い、あまりよくない印象を残してシーズンを終えてしまったのは残念でした。来年のスプリングトレーニングが正念場となりそうです。

この他、Matt LatosとRenaldo Lopezが各1回先発。Lopezに関しては、先発としては1試合だけでしたが、Rossの登板日にロングリリーフとして好投を続け、3勝という結果はともかく、首脳陣から高い評価を受けました。どうやらポストシーズンのロースター入りを果たしそうです。

ブルペンでは、相変わらずMark Melanconが安定のクローザー業務を遂行。前月ほど完璧ではなく、失点もし、セーブ失敗も1試合ありましたが、それでも十分な安定感があります。

ずっと役割分担がはっきりしなかったセットアッパー陣でしたが、Blake Treinen、Shawn Kelley、Marc Rzepczynski(左)は安定感のある仕事ぶりで、勝ちゲームはこの3人が中心になりそうです。特にShawn Kelleyはちょっと目を疑うような素晴らしい成績です。

2012年、2014年のポストシーズンではいずれも終盤の逆転負けを喫したナショナルズ。ポストシーズンになるとブルペンには一層プレッシャーがかかることになりますが、今年のブルペン陣は比較的ベテランが多く、大丈夫と期待しています。

[Hitter of September/October 2016: Trea Turner]

PA AVE OBP SLG R HR RBI SB
Trea Turner 129 0.339 0.380 0.612 19 8 18 15
Anthony Rendon 105 0.247 0.314 0.419 12 4 23 0
Jayson Werth 101 0.211 0.297 0.267 12 1 8 1
Danny Espinosa 101 0.135 0.212 0.281 12 4 10 1
Bryce Harper 98 0.210 0.327 0.321 11 1 11 3
Ryan Zimmerman 85 0.222 0.259 0.333 7 2 6 1
Wilson Ramos 73 0.275 0.315 0.420 4 2 9 0
Daniel Murphy 64 0.393 0.438 0.554 7 0 6 2

野手は野手で、今シーズン比較的健康に恵まれてきたツケを払うようにここに来て故障者が続出。首位打者あるいはリーグMVP争いにも名乗りを上げていたDaniel Murphyが足のつけねを痛めて17日以降は先発からは外れ、以降は代打でのわずか3打席のみ。ぎりぎりで首位打者を逃すことになりました。

そしてシーズン最終盤、地区優勝も決まった後になって、Wilson Ramosが右ひざ靭帯断裂でシーズン終了。翌日にはBryce Harperも右手を負傷して数日欠場(最後の数試合は出場しましたが)、Jayson Werthも軽傷とはいえ負傷して最後の2試合を欠場しました。

そんなチームを支えたのがTrea Turner。数字を見るまではここまでとは気付きませんでしたが、本当に1人で支えていたんですね。故障で半分休んだDaniel Murphyを除くと、打点以外の全ての項目でチームトップ。それも、圧倒的な差で。リードオフなんですから打点が伸びないのは当たり前ですが、それもチーム2位。この活躍で、2か月連続の公式の月間リーグ新人王に選ばれています。

逆に言えば、他の選手があまりにひど過ぎました。チーム打率こそ12位と並の成績でしたが、本塁打数は23位で総得点は20位に低迷。

Anthony Rendonこそまだ許せる数字ですが、Jayson Werth、Bryce Harper、Ryan Zimmerman、それにDanny Espinosaがこのままの調子では、各チームが4人以下のローテーションで回すことになるポストシーズンを勝ち上がることは絶対無理。こうしてみるとなおさらWilson Ramosの離脱が痛いですね。Daniel Murphy?戻ってきてくれないとどうにもなりません。

Ramosの離脱によって急に出場機会が増えた両捕手は、Jose Lobatonが.400/.409/.450、Pedro Severinoが.182/.357/.545と、それぞれ少ない機会で結果を残しています。Ramosの穴を埋めるのは簡単ではありませんが、ポストシーズンでもがんばってください。

セプテンバーコールアップで呼ばれた選手の中では、Brian Goodwinが27打席で.308/.333/.538、Wilmer Difoも29打席で.304/.448/.478と与えられた機会を活かしました。チームの冬の補強戦略に影響を与えたのではないでしょうか。来季のスプリングトレーングが楽しみです。

初戦の当日まで明らかにされなかったナショナルズのNLDSのロースターです。

[Starting Pitchers] 
Max Scherzer 
Tanner Roark
Gio Gonzalez (L)
Joe Ross

[Bullpen]
Mark Melancon (Closer)
Blake Treinen
Shawn Kelley
Mark Rzepczynski (L)
Sammy Solis (L)
Oliver Perez (L)
Reynaldo Lopez

[Catchers]
Jose Lobaton
Pedro Severino

[Infielders]
Ryan Zimmerman
Daniel Murphy
Anthony Rendon
Danny Espinosa

[Outfielders]
Jayson Werth 
Trea Turner
Bryce Harper

[Bench Bats]
Stephen Drew
Clint Robinson
Chris Heisey
Wilmer Difo  
Michael Taylor

驚きは、Ben RevereとYusmeiro Petitが外れたこと。Revereについては、外野守備はMichael Taylor、代走の役割はTaylorとWilmer Difoで十分果たせるとの判断で、Petitの代わりのロングリリーフは主にRenyaldo Lopezが務めることになるようです。Revereのほうは納得できる判断ですが、Joe RossとGio Gonzalezが2人ともあまり長いイニングを投げてくれる見込みがないこと、Petitは2014年のポストシーズンで(ナショナルズを相手に!)活躍した印象があるだけに、もったいない感じがします。

ともかく、この25人でまずは対ドジャーズ戦を勝ち抜きましょう!

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