各賞シリーズ第2弾、両リーグの最優秀監督賞の投票結果が発表され、ナショナルズのDusty Baker監督がナ・リーグで3位の得票を集めました。

昨シーズン終了直前に解任されたMatt Williams前監督の後を受け、今季からナショナルズの監督に就任。昨シーズン終了間際にあれだけばらばらだったチームをまとめ上げ、リーグ2位の95勝で地区優勝。なんと言っても、あの問題児Jonathan Papelbonを飼い慣らし、ブルペン投手陣(を含むチーム全体)のパフォーマンスを保ったことは高く評価したいと思います。

ナショナルズの監督は、2012年にDavey Johnsonが、2014年にはWilliamsが、ともに就任1年目で最優秀監督賞を受賞しましたが、2人とも翌年は失速してしまいました。Baker監督は3位だったので、来季はこのジンクスを崩してくれることと信じています。

最優秀監督賞を受賞したのは、ナ・リーグはドジャーズのDave Roberts監督。MLBの監督としての1年目で、しっかり地区優勝。しかし、あの盗塁を決めたRobertsが最優秀監督になるなんて、隔世の感です。日系ハーフなこともあって、とても嬉しいです。

ア・リーグはインディアンズのTerry Francona監督。やはりインディアンズを率いての2013年に続く2度目の受賞。下馬評を覆しての地区優勝(投票対象ではありませんが、故障者続出の中でポストシーズンを勝ち抜いてワールドシリーズまで到達)は見事でした。

両リーグの新人王が発表されました。

ナ・リーグは、ドジャーズのCorey Seager遊撃手が満票で受賞。昨年のセプテンバーコールアップでデビューして以来、高い水準でのプレーを続けています。今季は開幕からレギュラーに定着し、夏にはオールスターにも出場。最終的にほぼフル出場の157試合で.308/.365/.512、26本塁打、72打点という好成績。今週後半に発表されるリーグMVPでもトップ3に入っている(まあ、MVPはKris Bryantに決まっていますが)ことが明らかになっているほどですから、順当な受賞かと思います。

2位票は我らがTrea Turnerと前田健太が同数でしたが、3位票を多く集めたTurnerが2位になりました。半年分の出場だったにも関わらずこの評価は素晴らしい。Turnerは昨季と今季の2シーズン分の合計でちょうど通算100試合になるのですが、デビューから100試合での成績はMike Troutさえも上回るという記事が出回っているほどの素晴らしい活躍でした。

ア・リーグはタイガースのMichael Fulmer投手。規定投球回数にはわずかに届かなかった(159.0イニング)ものの、ほぼシーズンを通じてローテーションを守り、11勝7敗、132奪三振、3.06/1.12という立派な成績でした。2015年のフラッグディールトレードでYoenis Cespedesとの交換要員としてメッツから移籍した選手。メッツは本当に良い投手プロペクトの供給源ですね。

続いて各ポジションの最強打者を決めるシルバー・スラッガー賞。

ナショナルズからは、Daniel Murphy二塁手とWilson Rasmo捕手がいずれも初受賞です。この2人を含め、ナ・リーグは9人中8人が初受賞(残るNoran Arenadoも昨年が初受賞の2度目)という新鮮な顔ぶれとなりました。名前でなく今シーズンの活躍を踏まえた投票に基づく結果になっていることの証左でしょうね。いいことです。

National League 
C Wilson Ramos, WAS (初)
1B Anthony Rizzo, CHC (初)
2B Daniel Murphy, WAS (初)
3B Nolan Arenado, COL (2年連続2度目)
SS Corey Seager, LAD (初)
OF Charlie Blackmon, COL (初)
OF Yoenis Cespedes, NYM (初)
OF Christian Yelich, MIA (初)
P Jake Arrieta, CHC (初)

American League
C Salvador Perez, KC (初)
1B Miguel Cabrera, DET (2年連続7度目)
2B Jose Altuve, HOU (3年連続3度目)
3B Josh Donaldson, TOR (2年連続2度目)
SS Xander Bogaerts, BOS (2年連続2度目)
OF Mark Trumbo, BAL (初)
OF Mike Trout, LAA (5年連続5度目)
OF Mookie Betts, BOS (初)
DH David Ortiz, BOS (3年ぶり7度目)

オフシーズンの最初のお楽しみ、各賞の発表が始まりました。最初は守備のゴールド・グラブ賞。

ナ・リーグ三塁手部門でAnthony Rendonがいちおうの候補にはなっていたようですが、ここはロッキーズのNoran Arenadoが鉄板。今年もナショナルズの選手の受賞はなりませんでした。

National League 
C Buster Posey, SF (初)
1B Anthony Rizzo, CHC (初)
2B Joe Panik, SF (初)
3B Nolan Arenado, COL (4年連続4度目)
SS Brandon Crawford, SF (2年連続2度目)
LF Starling Marte, PIT (2年連続2度目)
CF Ender Inciarte, ATL (初)
RF Jayson Heyward, CHC (3年連続4度目)
P Zach Greinke, ARI (3年連続3度目)

American League
C Salvador Perez, KC (4年連続4度目)
1B Mitch Moreland, TEX (初)
2B Ian KInsler, DET (初)
3B Adrian Beltre, TEX (4年ぶり5度目)
SS Francisco Lindor, CLE (初)
LF Brett Gardner, NYY (初)
CF Kevin Kiermaier, TB (2年連続2度目)
RF Mookie Betts, BOS (初)
P Dallas Keuchel, HOU (3年連続3度目)

期待通りの盛り上がりを見せるワールドシリーズは3勝3敗で第7戦を迎えようとしています。なんとなくですが、インディアンズを応援する自分がいます。

ま、そんな話は置いといて、と。

10月11日から始まったアリゾナ秋季リーグが折り返し地点を過ぎたので、ナショナルズ傘下から参加している選手のここまでの成績を確認しておきしょう(成績はいずれも11月1日終了時点)。

Austin Voth, RHP 
4G(4GS) 14.2IP 6BB 15K 10.43/1.43
開幕投手を任されたようですが、登板した全4試合で失点と苦しんでいます。良いニュースは奪三振率の高さくらい。

Nick Lee, LHP 
6G 7.2IP 8BB 8K 2.35/2.22
自責点がついたのは、6試合中の1試合だけですが、他の2試合でも失点(非自責点)。イニング数を上回る与四球と、あまり内容も芳しくありません。

Ryan Brinley, RHP 
6G 8.0IP 1BB 7K 3.38/0.88
最初の4試合で無失点の後、2試合続けて失点中。与四球1に対して奪三振7つは好印象。

Jake Johansen, RHP 
5G 8.2IP 1BB 3K 1.04/1.04 
初登板で1失点した後は、4試合続けて0点。意外と言っては可哀想ですが、意外にも好投していると言えるでしょう。

Drew Ward, 3B
12G 46AB 0HR 6RBI 5BB 13K .370/.431/.413 0SB
打率.370は、AFL全体でも僅差で2位という高い水準。四球もまずまず選んでいる。ネックがあるとすれば、長打が出ないこと。

Andrew Stevenson, CF 
11G 46AB 1HR 10RBI 1BB 10K .304/.313/.500 5SB
このリーグが始まってからずっと3割ちょうどくらいの打率で推移。10打点、5盗塁はいずれもチームトップタイ。もう少し四球が増えるとなおよい。

Osvaldo Abreu, SS 
10G 38AB 0HR 5RBI 1BB 12K .211/.225/.263 2SB
元々がそこまで打撃の選手ではありせんので、打率や長打に文句はありません。一方で、12三振に対してわずか1四球は悪印象。

そしてこのうち、Drew WardとRyan Brinleyの2人が11月5日に開かれるオールスター戦に選出されています。

Aaron Barrett投手がFA退団しました。

これまで40人ロースター(60日DL)に入っていたBarrett。今週になってウェイバーにかけられたもののクレームする他球団がなかったことから、ナショナルズは傘下のSyracuse(AAA)行きを打診しましたが、これを拒否してFAとなる道を選びました。

2010年のドラフト9順目入団(Bryce Harperの同期)。2012年に頭角を現し、2013年にはHarrisburg(AA)のクローザーとして結果を残し、オフに40人ロースター入り。それでも全く無名のプロスペクトでしたが、2014年のスプリングトレーニングで好投して開幕ブルペン入りすると、開幕戦で同点の9回に起用され、結果的にメジャー初白星を記録しました。その後、夏場に調子を落としたものの、9月には調子を取り戻し、チームの地区優勝に貢献。ジャイアンツとのNLDSでもロースター入り。そして、(これまでの)キャリアのハイライトとなったNLDS第4戦でのワイルピッチがありました。あのワイルドピッチが汚点と言えば汚点ですが、それでも、2014年はBarrettにとって大きな飛躍の年。当ブログでも、チーム新人王に勝手に選ばせていただき、これからのナショナルズのブルペンを支える投手として大きな期待をかけていました。

ところが、この後は故障に苦しむことになります。翌2015年、開幕からしばらくはセットアッパーとして活躍しましたが、6月に右腕の痛みを訴えてイニング途中で降板。休養とリハビリで7月に復帰しjたものの、8月に右ひじ痛で再度のDL入り。右ひじのじん帯断裂が判明し、9月にTJ手術に踏み切ることになりました。これだけなら多くの投手が通ってきた道なのですが、残念ながらこれで終わりませんでした。リハビリも終盤に入っていた2016年8月、マウンドからの投球練習で再び右ひじを痛めて再手術。今季中の復帰どころか2017年の開幕にすら間に合わないと見込まれています(本人周辺は、2度目の手術はTJではないので来季の開幕には間に合うと言っていますが、現実的には無理みたいです)。

このように故障に苦しむことになった原因は、ひとえに登板過多でしょう。2014年の活躍で信頼を得た結果ではありますが、2015年は開幕から勝ち試合ではほとんど常に登板させられ、6月に最初にDL入りした時点までのチーム60試合のうち実に半分の30試合に登板させられていたほどでしすから。この毀誉褒貶のあったMatt Williams前監督でしたが、このBarrettの処遇は大きな汚点でしょう。

DLとは言えずっと40人ロースターに席を置いていたことからメジャー在籍期間が約3年(3年には少し足りませんが、いわゆるスーパー2という特例対象)でこのオフには年俸調停対象となり、年俸上昇することが見込まれることとなりました。が、一方で来季も、また故障履歴からしてその後も復帰できるかどうかが不透明な選手となったことも事実。このタイミングで40人ロースターから外すことを球団が決断したことについて、浪花節的には可哀想ですが、ビジネスとしては肯首できます。

才能ある選手がこうした形で退団することは残念。他球団ででもいいので、いずれまたメジャーのマウンドに戻ってくることを心から願っています。来季開幕時でもまだ29歳。やれるはずです。

[2016年10月全面的に更新して更新終了, 2015年1月更新、2013年4月オリジナル]

My Top 10 Prospectsを選んだ記事で予告したように、プロスペクト選手たちの紹介記事を書いていきます。なお、記事のタイトルからスタイルまで何から何までララさんのブログを参考にさせて頂いたことをここに申し上げておきます。(2013年4月オリジナル時)

++++++++++++

さて第1回は、エース級の投手に育ってくれることへの期待を込めてA. J. Coleです。
(2013年4月オリジナル時)

[Player Data]
Name: A.J. Cole

Position: RHP
Born: January 5, 1992
Birthplace: Winter Springs, Florida

School: Oviedo HS (Florida)
Height: 6-4(2013年4月オリジナル)⇒ 6-5(2016年10月最終更新)
Weight: 180(2013年4月オリジナル)⇒ 215(2016年10月最終更新)
Bats: Right
Throws: Right
Draft: 2010-4 WAS

Acquired: Trade from Oakland in three way trade (January 2013)
BA Organization Rank: 4(2011)⇒4(2012)⇒4(2013) ⇒2(2014)⇒7(2015) ⇒7(2016)
BA Overall Rank: 57(2012) ⇒NA(2013,2014) ⇒91(2015)

[Scouting Report]
高校時代から恵まれた体格からの球威のある速球に加え、制球力も高く評価されてきた。速球は92~97マイルで打者の手元で鋭く変化。それだけでも十分通用する。チェンジアップは既に武器として使えるが、習得中の縦に割れるカーブとともに、制球が課題。2012年前半は体が早く開き過ぎてボールが上ずる傾向が出ていたが、A降格後に修正済み。(2013年4月オリジナル時の記述)

90マイル台前半のツーシームとチェンジアップは高いレベルにあり、コースにしっかり投げ分けて試合を作ることができる。スライダーと縦のカーブも投げ、特にスライダーは好調な日には空振りを奪う決め球となるが、安定感には欠ける。十分にローテーション投手としてやっていけるだけの球種・制球力を持つ。(2016年10月最終更新)

[Background]
Bryce Harperを全体1位指名した2010年ドラフトの4順目。高校時代からの極めて高く評価され、ドラフト前のBAのランキングで16位に位置付けられていたが、高額の契約金要求とマイアミ大進学へのコミットのため全体116位まで残っていた。期限前日に200万ドル(4順目指名の選手に対する史上最高額)で契約。

本格プロデビューとなるはずの2011年は、春先の病気で体重を落として出遅れ、5月半ばにHagerstown(A)で初登板。当初は打ち込まれたものの、シーズンが進むに連れて調子を上げ、後半戦は2点台の防御率でイニング数を上回る奪三振を記録。2012年シーズン開幕前にBAが全体57位と評価するほどにトッププロスペクトとしての地位を確立。

ところが、明けて2012年1月にGio Gonzalezの対価としてアスレティックスにトレード。4対1のトレードながらCole こそがセンターピースと見られていた。アスレティックスでは期待感を持ってStockton (A+)に送られたものの、8試合で7本の本塁打を浴びるなど滅多打ちに遭い、5月にBurlington(A)に降格。しかし降格後は19試合で95.2イニングを投げ、2.07/1.01、奪三振109に対して与四球わずかに19と完全に支配。株は落としたが、依然としてエリートプロスペクトであることに変わりはない。2013年1月のMichael Morseを放出したトレードで出戻り。

2013年シーズンはPotomac(A+)で開幕。好不調の波がありながらも、評価を上げるピッチング。7月下旬にHarrisburg(AA)に昇格した後は、登板した7試合全てでクオリティ・スタートを記録し、2.18/0.90、イニング数を上回る奪三振を記録するなど一層評価を上げてシーズンを終了。BAでこそあまり高く評価されなかったが、BPでは53位、MLB.comでも69 位。

2014年は、初めてメジャーのスプリングトレーニングに参加。3試合で計6回2/3を投げ、無失点無四球7奪三振と文句の付けようのない結果。開幕はHarrisburgだったが、14試合に登板して2.92/1.32とここでも素晴らしい結果を残し、6月下旬にSyracuse(AAA)に昇格。AAAでも11試合に登板して、7勝無敗(防御率は3.43なので運に恵まれた部分もあるが)。オフに40人ロースター入り。22歳にしてメジャー昇格目前まで順調にステップアップを果たした。

2015年はジェットコースターのようなシーズンとなった。開幕はAAA。メジャーのスプリングトレーニングに参加したものの、やはり3試合に登板しただけで早々にマイナーに送られていたこともあり、メジャー昇格まではしばらくかかると思われたが、(故障者が出たため)意外と早い4月28日にメジャー昇格・デビューを果たした。ところが、先発を任されたこのデビュー戦、わずか2イニングで9安打1四球9失点という惨憺たる結果に終わり、即座にAAAに降格。5月半ばにはロングリリーフとして再びメジャーに呼ばれ2試合に登板(3イニングセーブも記録)したが、やはりすぐにAAAに戻された。ただし、AAAのローテーションに定着した6月24日以降は、12試合に先発し、防御率1.93、WHIP0.98という好成績を残した。メジャーでの印象があまりにも悪かったこともありプロスペクトとしての地位はむしろ下がってしまった印象。

2016年のスプリングトレーニングからは早々にカットされ、シーズンが始まってからもAAAに塩漬け。22試合に先発して防御率.462とパッとしない成績でこのまま忘れられた存在として終わってしまうかと思われたが、8月下旬になって右ひじ痛で離脱したStephen Strasburgの穴埋めとしてメジャー昇格。以降、快投という感じではないものの最低限試合を作るピッチングを続け、9月2日のメッツ戦では6回1失点でメジャー初白星も記録するなど、シーズン終了までの計8試合でローテーションを守った。ただし、最後の3試合は、最長でも4イニングしかなげられず計9回2/3で9点失い防御率を5.17まで悪化させるなど、惜しくも下降気味で終了。

[Comment]

(2016年9月、メジャー初勝利の日 Jim McIsaac/Getty Images)

忘れられた存在になりつつあった2016年シーズンでしたが、チームの先発投手事情から8月末になってメジャー昇格が転がり込み、Coleにとってはある意味で幸運でした。最低限の結果は残しましたが、シーズン最終盤の不調もあり、来季のローテーションの有力候補というわけでもなさそうです。私としては、このProspect Profilesシリーズで最初に記事を書いた選手として思い入れがあります。来年のスプリングトレーニングで頑張りましょう。(2016年10月)

ドラフトBAの評価がなぜこんなに低い(組織内7位)のか分かりませんが、弱冠23歳にしてメジャーデビュー目前まで来ている紛れもないエリートプロスペクト。今季はAAAで開幕を迎えると思われますが、メジャーデビューも期待されます。まずはスプリングトレーニングで好印象を残し、メジャーのローテーションに何かあったら呼ばれてもいいように、しっかり準備しておきましょう。そして来季は開幕ローテーションへ!期待しています。(2015年1月)

ドラフト時から大きな期待を持っていた投手。一度はアスレティックスに放出されて寂しい思いをしただけに、出戻りにより思い入れは倍増。是非とも大成してほしい。(2013年4月)

[2016年10月最終更新, 2015年3月更新, 2014年4月更新, 2013年5月オリジナル]

第10回は2012年ドラフト3順目入団の大型左腕Brett Mooneyhamです。

[Player Data]
Name: Brett Mooneyham
Position: LHP
Born: January 24, 1990
Birthplace: Merced, California
School: Stanford
Height: 6-5
Weight: 235
Bats: Left
Throws: Left
Draft: 2012-3
Acquired: Draft
BA Organization Rank: 20(2013)⇒22(2014)
BA Overall Rank: NA

[Scouting Report]
球威はあるものの制球力に難ありという長身投手にありがちなプロフィール。フォーシームは90マイル台前半をコンスタントに計時するが制球が悪く、フラットな球筋であることもあって、高めに浮いたところを痛打されてきた。制球に苦しむ理由はアームスロットが安定しないことと言われる。長身を活かすためにリリースポイントを上げることを含め、プロ入り後フォームの改造に取り組んでいる。70マイル台のカーブとチェンジアップも投げるが、有効な武器とはなっていない。

[Background]
父親のBill Mooneyhamは1980年のドラフト1順目全体10位でエンゼルスに入団し、1シーズンだけとはいえ1986年にアスレティックスで45試合に登板(4勝5敗)した元メジャーリーガー。

Brett本人も早くからプロスペクトとして注目を集め、高卒時の2008年ドラフト(15順目)でパドレスが指名し100万ドルを超えるボーナスを提示したが、これを蹴ってスタンフォード大に進学。しかし、大学では伸び悩み、さらに3年生となった2011年シーズンは指を故障して全休。それでもナショナルズが38順目で指名したが契約せず大学に戻る。

4年生となった2012年シーズンは全体1位指名かと言われていながら8位指名に終わった(あげくパイレーツ入団を拒否して大学に戻った)Mark Appelに続く、スタンフォード大の2番手投手として投げたが、15試合83.1イニングで4.75/1.42と物足りない数字。イニング数を上回る奪三振を記録したことは評価できるが、39四球15死球はいかにも多い。

シーズン前は1順目下位指名もあると言われていた評価を下げ、2012年ドラフトを前にしたBAランキングでは120位。結局、3順目全体111位でナショナルズが指名し、スロット金額の42.8万ドルで契約合意。契約後、Auburn(SS)でデビューして10試合に登板。42.1イニングで2.55/1.23、四球率は高くないが奪三振率も低いという良いのか悪いのか分からない投球。

2013年はHagerstown(A)のローテーション投手として開幕したが、3試合目の4月17日の登板で腕の痛みを訴えて途中降板。心配させたが、6月上旬に戻った後はSouth Atlantic Leagueの打者を圧倒。結局17試合の先発で10勝、1.94/0.98の好成績を残して9月にPotomac(A+)へ昇格。Potomacでの3試合では打ち込まれた。

2014年はPotomac(A+)のローテーション投手として開幕たが、10試合に登板して7.36/2.12、イニング数を上回る四球を許すなど散々な結果。いったんフロリダのキャンプ地に送り返された後、Auburn(SS)での調整登板を経て戻ったHagerstownでも、7試合で3.94/1.69と冴えない結果で7月末にシーズン終了。

ラスト・チャンスとなった2015年。Hagerstownのブルペン投手として開幕したが、10試合に登板した時点で7.78/2.14という成績しか残せず、6月3日についにリリースされた。その後、メジャーリーグ傘下でのプレー記録は見当たらない。

[Comment]
1年以上前のことなので今さらですが、2015年6月にリリースされたことを確認したので更新しておきます。Prospect Profile シリーズで取り上げた選手がこのような形でキャリアを終えるというのは寂しいですね。(2016年10月)

7月末がシーズン最終登板となったのが故障のためなのかどうかがはっきりしませんが、いずれにせよ年齢も既に25歳。今シーズンがラスト・チャンスとなりそうです。(2015年3月)

心配したほど長引くこともなく故障から復帰し、Aを支配したということでまずは成功のシーズンとなりました。相変わらずの制球難が続いており、先発投手として大成できるかブルペン左腕として促成栽培されることになるか、2014年が勝負の年になりそうな予感がします。(2014年4月)

既に23歳で速い昇格が期待されていただけに、早々の故障離脱は痛い。体格に恵まれ素質もあると期待されていた投手。早く復帰して、投球フォームを固め、Ross Detwilerのような感じで育ってくれることを期待しています。(2013年5月)

[2016年10月更新終了, 2015年3月更新, 2014年5月オリジナル]

シリーズ第14回は、トッププロスペクトとして名が上がるにしては珍しく打撃成績では全く目立たないPedro Severino捕手です。

[Player Data]
Name: Pedro Severino
Position: CA
Born: July 20, 1993
Birthplace: Bonao, Dominican Republic
School: NA
Height: 6-1
Weight: 180
Bats: Right
Throws: Right
Draft: NA
Acquired: International FA
BA Organization Rank: 13(2014) ⇒ 14(2015) ⇒11(2016)
BA Overall Rank: NA

[Scouting Report] 
ほとんど守備力だけでプロスペクトとして非常に高い評価を得ている珍しい選手。最大の売りは、打撃のマイナスを補って余りある守備力。地肩の強さに加え、捕球から送球への動作も極めて速く、簡単には盗塁を許さない(マイナー通算の盗塁阻止率は約40%)。運動能力の高さを見せつけるバントやキャッチャーフライの処理だけでも人目を引くレベル。フレーミングも既に高評価を得ている。いわゆるメイクアップも高く評価され、チームメイトに比べてかなり若いにもかかわらず、リーダーシップを発揮しているとのこと。打撃についても、年々と向上し、メジャーでも最低限打てる力がある。

[Background]
ドミニカ出身。2010年12月に17歳でナショナルズと契約。

2011、12年はともにGCL Natinals(Rk)に所属。盗塁阻止率が高いことが目立つくらいで、2年間合わせた打撃成績は、.201/.280/.277と全く打てず。

それでも、2013年に控え捕手としてHagerstown(A)に昇格すると、正捕手が負傷離脱した隙にその座を奪うことに成功。波はあったものの.241/.274/.333という打撃成績を残し、元々評価されていた守備力も相まって、プロスペクトとしての評価を一気に高めた。とはいえ、守備型捕手プロスペクトの評価は難しく、BAでは上記のとおり13位だが、BP, MLB.comではトップ10入りしている一方でSickelsではトップ20にも入らないなど、評価が割れた。

まだ20歳ということもあり、Aをもう1年かと思われた2014年はPotomac(A+)に昇格して開幕。健康にシーズンを過ごし、高い盗塁阻止率を続けながら、打撃でも.247/.306/.399、9本塁打と前年をも上回る成績。注目は本塁打数。前年のわずか1本から一気に9本へ。しかも三振率は上がらず。アリゾナ秋季リーグにも派遣され、12試合に出場して、.250/.292/.341とまずまずの成績。

2015年にはメジャーのスプリングトレーニングに初参加。開幕後は、Harrisburg(AA)の正捕手としてプレーし、7月にはEastern Leagueのオールスターに選出される。91試合出場で.246/.288/.331の打席成績を残し、セプテンバーコールアップでメジャー初昇格。Wilson Ramos、Jose Lobatonの後の3番手捕手としてベンチを温める日が続いたが、9月20日に代打でメジャーデビュー(レフトへの二塁打)。最終戦では先発マスクをかぶった。

2016年のスプリングトレーニングでは、10試合で打率4割超と打った上、リード面での評価をさらに上げた。開幕後は、Syracuse(AAA)の正捕手として過ごしつつ、4月、7-8月にスポット的にメジャーでもプレーした後、セプテンバーコールアップで昇格。やはりRamos、Lobatonに次ぐ立場であったが、9月26日にRamosが右足負傷で離脱したため出番が急増。NLDSでも第1戦の先発マスクを含む4試合に出場することになった。守備はもちろん高評価の上、打撃成績も、AAA(82試合)で.271/.316/.337、メジャー(16試合)でも.321/.441/.607と飛躍の年となった。

[Comment]
2015年にあっさりとメジャーに到達し、その後も順調に成長しています。Wilson Ramosの故障離脱という形で運も味方し、NLDSでもプレーする機会を得、しっかり評価を上げました。RamosのFA退団が濃厚で(Lobatonも年俸調停の対象ですがノンテンダーの可能性あり)、来季の捕手ポジションは白紙状態のナショナルズ。オフにRizzo監督がどういう動きを見せるか分かりませんが、Severinoにレギュラーを任せてベテランの控え捕手を補強するという策も選択肢に入っているはず。私としてはそれを支持したい。現時点で23歳、大きな可能性を感じさせる選手です。(2016年10月)

2014年には打撃、特にパワー面で大きな伸びを見せたことからプロスペクトランキングで上位に入ってくるかと思いましたが、意外とそうでもなく、トップ10入りには至りませんでした。それでも、層が厚い捕手プロスペクトの中での最高評価。期待しています。(2015年3月)

守備力、特に捕手守備力を計るスタッツはほとんどなく、Aでは動画を見ることもままならず。日々追いかけるのはなかなか難しいというのが正直なところ。とりあえず、故障離脱がないことを願っています。(2014年5月)

さらにもう1人、2016年のMy Top 10 Prospectsに選んだ高卒左腕のTyler Watsonです。

[Player Data]
Name: Tyler Watson
Position: LHP
Born: May 22, 1997
Birthplace: Gilbert, Arizona
School: Perry HS (Arizona)
Height: 6-5
Weight: 200
Bats: Right
Throws: Left
Draft: 2015-34 WAS
Acquired: Draft (2015)
BA Organization Rank: NA
BA Overall Rank: NA

[Scouting Report]
長身の左腕。既に高校時代から90マイルを超える速球は、そのムーブを含めて高く評価されていた。体格が仕上がっていけば更に球速が上がると見込まれるが、必ずしもパワーピッチャーではなく、制球で勝負できる。変化球は、高校時代から縦に割れるカーブは持っていたが、プロ入り後チェンジアップの習得に取り組んでいる。変化球が今後のステップアップのカギを握る。

 [Background]
高校3年時の2015年ドラフト34順目でナショナルズが指名。指名順位が低く、大学進学も内定していたので契約できるとは思われていなかったが、40万ドルという破格のボーナス提示もあって契約に成功。GCLナショナルズに所属し、わずか5試合13回1/3とはいえ、無失点、16奪三振、4四球という好成績を残した。(この時点でMy Top 10 Prospectsに選出。)

2016年はGCLでじっくり育成かと思いきや、いきなりAuburn(SS)で開幕。しかも開幕戦のマウンドに送られ5回無失点8奪三振。以降も年長の打者ばかりのリーグで好投を続け、8月のNew York Penn Leagueのオールスターに選出される。最終的にSSでは計9試合43イニングを投げ、1.88/0.91、48奪三振、9四球という文句の付けようのない成績を残してシーズン最終盤にHagerstown(A)への昇格。3試合に先発してシーズンを終えた。

[Comment]
ドラフト指名順位は低かったものの、高卒左腕投手という夢のある選手。その夢に賭けて2015年オフにMy Top 10 Prospectsに選んでみましたが、2016年はその期待にしっかり応えてくれました。同じように下位指名だったTanner Roark(まあそれでも25順目でしたが)のような大化けを期待して見守りましょう。(2016年10月)

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